健診で「T波異常」と指摘されたら
健診で「T波異常」と指摘されたら
健康診断や心電図検査で「T波異常」を指摘された方へ、循環器専門医が解説します。
「T波異常(ティーはいじょう)」あるいは「非特異的T波変化」と記載される項目です。「平低T波」、「二相性T波」と記載されていることもあります。
正常な心電図では、T波は「なだらかな山のような形」をしていますが、この山が低くなって平らになったり(平低T波)、形がいびつになったりしている状態を指します。まず重要なこととして、「T波異常=心臓病」とは限りません。T波は心電図の波形の中でも「比較的変化が起こりやすい部分」であり、心臓の病気がなくても、体型や自律神経・ホルモンのバランス次第で形が変わってしまうことが知られています。
T波異常の原因は多岐にわたりますが、大きく分けて「生理的なもの(病気ではない)」と「病的なもの」があります。検診で指摘されるケースの多くは、前者の「生理的な変化」です。例えば、更年期の女性におけるホルモンバランスの変化、過労や睡眠不足、緊張(交感神経の興奮)、あるいは単に「太っていて横隔膜が上がっている」といった理由だけで、T波が平らになることはよくあります。これらは「非特異的(特定の病気を指すものではない)」な変化であり、治療の必要はありません。
一方で、見逃してはいけないのが「病的な変化」です。心臓の血管が狭くなる「狭心症」や、高血圧によって心臓に負担がかかっている状態、あるいは「電解質異常(血液中のカリウム不足など)」等のサインとして、T波に異常が出ている場合があります。特に、以前の検診では正常だったのに、今回急にT波異常を指摘されたというような「変化」が見られる場合は、注意が必要です。
この「ただの体調による変化」なのか、「隠れた心臓病のサイン」なのかを区別するためには、心電図検査だけでは不十分です。そのため、検診で指摘された場合にまず行うべきことは、「採血」や、「心臓超音波検査(心エコー)」で心臓の動きを直接観察することです。特に、症状がなく心エコー検査で心臓の壁の動きが正常であれば、そのT波異常は「心配のない変化」であると言えます。「異常」という言葉に不安を感じるかと思いますが、多くの場合は経過観察で済むものです。まずは「病気ではないこと」を確認し、安心するために検査を受けていただければと思います。
当院の受診の流れ
初回の診察 — 状態の確認と検査の計画
問診・診察のうえ、必要に応じて採血・心電図・胸部レントゲンなどの基本的な検査をその場で行い、状態を確認します。緊急性が疑われる場合は、直ちに近隣の高次医療機関へご紹介します。さらに検査の追加が必要な場合は、ホルター心電図(携帯型の心電計)をお持ち帰りいただいたり、冠動脈CT検査(連携医療機関で実施)などの予約を行います。
2回目の受診 — 心エコーと結果のご説明
後日、心臓超音波検査(心エコー・予約制)を実施します。ホルター心電図やCTなどすべての検査結果が揃ったこの日に、結果を丁寧にご説明し、今後の方針を一緒に決めていきます。
当院ではセカンドオピニオン診療を行っておりません。すでに他の医療機関にて治療中の心疾患について、当院での相談を希望される際には必ず紹介状をお持ち頂きますよう、お願い致します。かかりつけの先生からの紹介状を持たず受診をされると、過去の経緯や検査結果などがまったくわからないところから手探りの診察となるため、当院にて正確な診断・治療を行うことは、却って困難になります。また、検査や治療が重複することにより、金銭面のみならず、患者様の身体面でも大きな負担が生じます。さらに健康保険側では、医療費の適正化の取り組みとして重複受診を行っている方の調査を行っており、患者様に個別に連絡が入るケースがあります。ご理解、ご協力のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
その他の検診異常については心臓の病気と検診異常のページをご覧ください。