うっ血性心不全
うっ血性心不全
心臓は、全身と肺に血液を送るための筋肉でできたポンプであり、平均的な体格の健康成人が安静にしているときには、1分間あたり5~6Lの血液を送り出しています。心臓は非常に予備力に優れた臓器であり、激しい運動の際には1分間あたり20Lもの血液を全身に供給することができます。
このような心臓の能力は、様々な疾患や加齢によって徐々に損なわれていきます。能力の低下が中等度までであれば、予備力が低下する程度に留まるため、日常生活を送る上で重大な支障が生じることはあまりありません。しかし、それ以上に心臓の機能が損なわれた状態になると、血流のうっ滞によって体液量が増加し、胸水や肺うっ血による呼吸困難や、下肢浮腫などの心不全症状が出現します。さらに状態が悪化すれば、全身の諸臓器が必要としている血液を十分に供給できなくなり、臓器機能が悪化します。これを低心拍出量症候群と言います。
心不全は、急激に状態が悪化する急性期(急性心不全)と、比較的安定した状態で推移する慢性期(慢性心不全)に大きく分類することができます。
急性心不全の病状は得てして深刻であり、基本的には入院が必要です。適切な治療によって一旦は改善することが殆どですが、残念ながら心不全そのものが完治することはなく、ぶり返すことがあります。また、過労や、水分・塩分の摂りすぎ、風邪、ストレス、薬の飲み忘れなどにより、心不全の症状が悪化したり、再発することもあります。その場合も、適切な治療により再度心不全は改善しますが、このような悪化と改善を繰り返すことにより、心不全はだんだん悪くなり、やがて生命を脅かします。

(日本循環器学会 急性・慢性心不全診療ガイドライン 2017年改定版より引用)
一方、慢性心不全の状態にある患者様については、できる限り安定した状態を維持できるように、外来にて採血や心電図、レントゲン、心エコーなどの検査を定期的に実施し、内服薬の調整等を行いながら経過を観察します。この時期に心臓の機能をさらに悪くしないためには、適切な薬物治療に加えて、禁煙や減塩、節酒、適度な運動が重要です。急性心不全をぶり返さないためには、以上の事項に加えて、過労や水分の過剰摂取を避け、風邪の予防に努めることが大切です。
当院の受診の流れ
初回の診察 — 状態の確認と検査の計画
問診・診察のうえ、必要に応じて採血・心電図・胸部レントゲンなどの基本的な検査をその場で行い、状態を確認します。緊急性が疑われる場合は、直ちに近隣の高次医療機関へご紹介します。さらに検査の追加が必要な場合は、ホルター心電図(携帯型の心電計)をお持ち帰りいただいたり、冠動脈CT検査(連携医療機関で実施)などの予約を行います。
2回目の受診 — 心エコーと結果のご説明
後日、心臓超音波検査(心エコー・予約制)を実施します。ホルター心電図やCTなどすべての検査結果が揃ったこの日に、結果を丁寧にご説明し、今後の方針を一緒に決めていきます。
当院ではセカンドオピニオン診療を行っておりません。すでに他の医療機関にて治療中の心疾患について、当院での相談を希望される際には必ず紹介状をお持ち頂きますよう、お願い致します。かかりつけの先生からの紹介状を持たず受診をされると、過去の経緯や検査結果などがまったくわからないところから手探りの診察となるため、当院にて正確な診断・治療を行うことは、却って困難になります。また、検査や治療が重複することにより、金銭面のみならず、患者様の身体面でも大きな負担が生じます。さらに健康保険側では、医療費の適正化の取り組みとして重複受診を行っている方の調査を行っており、患者様に個別に連絡が入るケースがあります。ご理解、ご協力のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
その他の循環器内科の病気については循環器内科の病気のページをご覧ください。