健診で「右脚ブロック」と指摘されたら
健診で「右脚ブロック」と指摘されたら
健康診断や心電図検査で「右脚ブロック」を指摘された方へ、循環器専門医が解説します。
健康診断の心電図判定で頻繁に目にする所見の一つです。心臓は、電気信号が筋肉に伝わることで収縮しますが、その電気の通り道は途中で右心室側(右脚)と左心室側(左脚)の二手に分かれます。右脚ブロックとは、このうち「右心室側の通り道」の電気が流れにくくなっている(あるいは切れている)状態を指します。このとき、右心室には電気信号が回り道をして伝わるため、心電図の波形が変化して記録されますが、症状が出ることはなく、ご自身で気づくことはまずありません。
右脚ブロックの大多数は「病気」ではありません。心臓の機能に問題がない健康な方にもよく見られる「体質的な特徴」や「個人差」の範疇であることがほとんどです。特に「不完全右脚ブロック」であれば、病的意義はほとんどなく、放置して差し支えないケースが大半です。「完全右脚ブロック」であっても、それ単独であれば直ちに治療が必要になることは稀です。
ただし、右脚ブロックが「心臓の病気のサイン」として現れているケースも一部に存在するため、一度は精密検査を受けることが推奨されます。注意すべき病気の代表例は、心房中隔欠損症などの「先天性心疾患」です。これは生まれつき心臓の壁に穴が開いている病気で、右心室に負担がかかるため、右脚ブロックの波形を示すことがあります。また、「ブルガダ症候群」という、遺伝的に致死的な不整脈を起こしやすい病気も、一見すると右脚ブロックに似た波形を示すことがあるため、専門医による鑑別が重要です。
そのため、検診で初めて右脚ブロック(特に完全右脚ブロック)を指摘された場合は、放置せずに一度当院をご受診ください。当院では、心臓超音波検査(心エコー)を行い、心臓に穴が開いていないか、右心室に負担がかかっていないかを確認します。超音波検査で心臓の構造に異常がないことが確認できれば、その後は「健康上の問題なし」として、原則として心配なく過ごしていただいて構いません。なお、似たような所見である「左脚ブロック」は重要度が全く異なり、重篤な疾患が隠れている可能性があるので、注意が必要です。
当院の受診の流れ
初回の診察 — 状態の確認と検査の計画
問診・診察のうえ、必要に応じて採血・心電図・胸部レントゲンなどの基本的な検査をその場で行い、状態を確認します。緊急性が疑われる場合は、直ちに近隣の高次医療機関へご紹介します。さらに検査の追加が必要な場合は、ホルター心電図(携帯型の心電計)をお持ち帰りいただいたり、冠動脈CT検査(連携医療機関で実施)などの予約を行います。
2回目の受診 — 心エコーと結果のご説明
後日、心臓超音波検査(心エコー・予約制)を実施します。ホルター心電図やCTなどすべての検査結果が揃ったこの日に、結果を丁寧にご説明し、今後の方針を一緒に決めていきます。
当院ではセカンドオピニオン診療を行っておりません。すでに他の医療機関にて治療中の心疾患について、当院での相談を希望される際には必ず紹介状をお持ち頂きますよう、お願い致します。かかりつけの先生からの紹介状を持たず受診をされると、過去の経緯や検査結果などがまったくわからないところから手探りの診察となるため、当院にて正確な診断・治療を行うことは、却って困難になります。また、検査や治療が重複することにより、金銭面のみならず、患者様の身体面でも大きな負担が生じます。さらに健康保険側では、医療費の適正化の取り組みとして重複受診を行っている方の調査を行っており、患者様に個別に連絡が入るケースがあります。ご理解、ご協力のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
その他の検診異常については心臓の病気と検診異常のページをご覧ください。