急性大動脈解離
急性大動脈解離
心臓につながる人体で最も太い血管である「大動脈」の内側の壁に、突如として亀裂が入り、そこから壁の中に血液が流れ込むことで、血管が縦方向にメリメリと裂けてしまう病気です。血管の壁が薄くなるため破裂して大出血を起こす危険があるほか、解離が脳や心臓、腎臓などの重要な臓器へ向かう枝分かれを塞いでしまうと、脳梗塞や心筋梗塞などを合併することもあります。循環器疾患の中でも、発症直後から時間単位で死亡率が上昇する、最も緊急性の高い致死的な疾患の一つです。
典型的な症状は、「ある瞬間に突然発症する、引き裂かれるような激烈な胸や背中の痛み」です。解離が広がるにつれて痛みの場所が胸から背中、腰などへと移動していきます。ただし、解離によって脳への血流が遮断された場合は、痛みを訴える前に失神(気絶)や意識障害が最初の症状となることもあるため、注意が必要です。
診断には造影CT検査が必須であり、治療方針は解離が起きている場所によって大きく異なります。心臓に近い「上行大動脈」に解離が及んでいる場合(スタンフォードA型)は、心臓の破裂や心不全によって数時間以内に命を落とす危険性が極めて高いため、夜間・休日を問わず緊急の開胸手術(人工血管置換術)が必要です。一方、背中からお腹にかけての「下行大動脈」のみに限局している場合(スタンフォードB型)は、基本的には集中治療室での強力な降圧療法(血圧を下げる治療)と絶対安静で管理を行います。近年ではカテーテルを用いたステントグラフト手術を行うケースもあります。
この病気の最大のリスク因子は、動脈硬化と、何と言っても「高血圧」です。予防のためには、日頃から血圧を厳格に管理し、血管への負担を減らし続けることが何より重要です。 もし、突発的な激しい背部痛や胸痛を感じた場合は、一刻を争う事態である可能性があります。ご自身で病院へ向かうのは危険ですので、迷わず119番通報をして救急車を呼び、救急隊に「背中が裂けるように痛い」と伝えてください。
当院の受診の流れ
初回の診察 — 状態の確認と検査の計画
問診・診察のうえ、必要に応じて採血・心電図・胸部レントゲンなどの基本的な検査をその場で行い、状態を確認します。緊急性が疑われる場合は、直ちに近隣の高次医療機関へご紹介します。さらに検査の追加が必要な場合は、ホルター心電図(携帯型の心電計)をお持ち帰りいただいたり、冠動脈CT検査(連携医療機関で実施)などの予約を行います。
2回目の受診 — 心エコーと結果のご説明
後日、心臓超音波検査(心エコー・予約制)を実施します。ホルター心電図やCTなどすべての検査結果が揃ったこの日に、結果を丁寧にご説明し、今後の方針を一緒に決めていきます。
当院ではセカンドオピニオン診療を行っておりません。すでに他の医療機関にて治療中の心疾患について、当院での相談を希望される際には必ず紹介状をお持ち頂きますよう、お願い致します。かかりつけの先生からの紹介状を持たず受診をされると、過去の経緯や検査結果などがまったくわからないところから手探りの診察となるため、当院にて正確な診断・治療を行うことは、却って困難になります。また、検査や治療が重複することにより、金銭面のみならず、患者様の身体面でも大きな負担が生じます。さらに健康保険側では、医療費の適正化の取り組みとして重複受診を行っている方の調査を行っており、患者様に個別に連絡が入るケースがあります。ご理解、ご協力のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
その他の循環器内科の病気については循環器内科の病気のページをご覧ください。