健診で「WPW症候群」と指摘されたら
健診で「WPW症候群」と指摘されたら
健康診断や心電図検査で「WPW症候群」を指摘された方へ、循環器専門医が解説します。
「デルタ波」と記載されることもある項目です。これは、「生まれつき、心臓の中に余分な電気の通り道(副伝導路)がある状態」を示すものです。通常、心房を通った心臓の電気信号は、「房室結節」という一つの”関所”を通って心室へと伝わりますが、WPW症候群の方には、この関所をパスする「近道(副伝導路、ケント束とも言います)」が存在します。心房からの電気信号が近道を通って心室に先回りして伝わってしまうため、心電図の波形の立ち上がりが特徴的な形(デルタ波)になります。
この診断を受けた時に最も重要なのは、「動悸発作があるかどうか」です。WPW症候群の方の多くは、日常生活において全く無症状であり、健康な方と同じように生活できます。しかし、心臓の中で条件が揃うと、電気が正規ルートと近道をぐるぐると回転(ショート)してしまい、「発作性上室性頻拍」という、突然脈が1分間に150回〜200回にもなる激しい動悸を引き起こすことがあります。また、稀ではありますが、「心房細動」という不整脈を合併した場合、著しく高頻度の電気信号が心室へ流れ込み、危険な不整脈(心室細動)に移行して失神や突然死の原因となるリスクもゼロではありません。
検診で指摘された場合、以下のような対応となります。
自覚症状(動悸)がない場合 : 基本的には「経過観察」で問題ありません。ただし、プロのアスリートや、運転手・パイロットなどの特殊な職業に就いている方の場合は、万が一のリスクを踏まえて、無症状でも精密検査や治療を行う場合があります。
自覚症状(動悸)がある場合 : 「急に脈が速くなり、また急にもとに戻る」といった症状がある場合は、治療の対象となります。WPW症候群は「カテーテルアブレーション」という治療法によって余分な通り道(副伝導路)を焼き切ることで「根治(完全に治すこと)」が可能な病気です。一般的に成功率は高く、治療後は再発の心配なく過ごすことができます。
検診で指摘されたら、まずは当院をご受診ください。24時間心電図(ホルター心電図)などで隠れた不整脈がないかを確認します。「今まで症状はなかったけれど、最近ドキドキすることがある」という方は、根治できる可能性が高いため、我慢せずに早めにご相談いただければと思います。
当院の受診の流れ
初回の診察 — 状態の確認と検査の計画
問診・診察のうえ、必要に応じて採血・心電図・胸部レントゲンなどの基本的な検査をその場で行い、状態を確認します。緊急性が疑われる場合は、直ちに近隣の高次医療機関へご紹介します。さらに検査の追加が必要な場合は、ホルター心電図(携帯型の心電計)をお持ち帰りいただいたり、冠動脈CT検査(連携医療機関で実施)などの予約を行います。
2回目の受診 — 心エコーと結果のご説明
後日、心臓超音波検査(心エコー・予約制)を実施します。ホルター心電図やCTなどすべての検査結果が揃ったこの日に、結果を丁寧にご説明し、今後の方針を一緒に決めていきます。
当院ではセカンドオピニオン診療を行っておりません。すでに他の医療機関にて治療中の心疾患について、当院での相談を希望される際には必ず紹介状をお持ち頂きますよう、お願い致します。かかりつけの先生からの紹介状を持たず受診をされると、過去の経緯や検査結果などがまったくわからないところから手探りの診察となるため、当院にて正確な診断・治療を行うことは、却って困難になります。また、検査や治療が重複することにより、金銭面のみならず、患者様の身体面でも大きな負担が生じます。さらに健康保険側では、医療費の適正化の取り組みとして重複受診を行っている方の調査を行っており、患者様に個別に連絡が入るケースがあります。ご理解、ご協力のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
その他の検診異常については心臓の病気と検診異常のページをご覧ください。