大動脈弁狭窄症
大動脈弁狭窄症
心臓から全身へ血液を送り出す「出口」にある「大動脈弁」が、動脈硬化や加齢の影響で石灰化して硬くなり、開きが悪くなってしまう病気です。心臓は、狭い隙間のようになった大動脈弁(得てして、開口面積は1平方センチメートル未満となります)から全身に血液を届けるために、通常よりも強い力でポンプを動かし続けなければなりません。この過酷な負荷が長く続くと、心臓の筋肉が分厚くなったり(心肥大)、最終的には疲れ果てて動きが悪くなったり(心不全)してしまいます。近年、社会の高齢化に伴い患者数が急増している病気の一つです。
この病気の最大の特徴であり恐ろしい点は、「重症化するまで長期間にわたり無症状である」ことです。しかし、一度症状が出現すると、そこから急速に病状が悪化し、生命に関わるリスクが高まることが知られています。注意すべき3大症状は、① 坂道や階段での息切れ・呼吸困難(心不全)、② 胸の締め付けられるような痛み(狭心症)、③ 目の前が暗くなる・気を失う(失神)です。これらの症状が出始めた場合、適切な治療を行わないと、数年以内で命を落とす可能性が高いというデータもあり、一刻を争う状態と言えます。
早期発見のきっかけとして最も重要なのが、医師による「聴診」です。狭くなった弁を血液が無理やり通る際に、「シュー、シュー」という特徴的な心雑音が聞こえるため、かかりつけ医での定期的な診察や健診で見つかることが多いです。疑われた場合は、当院にて心臓超音波検査(心エコー)を行い、弁の面積や血液の流れの速さを計測することで、重症度を正確に診断します。

残念ながら、一度硬くなってしまった弁を薬で元に戻すことはできません。重症と診断され、かつ症状がある場合は、狭くなった弁を人工弁に取り替える治療が必要です。従来は胸を開く「開胸手術」が一般的でしたが、近年では、太ももの血管などからカテーテルを通して人工弁を留置する「TAVI(タビ、と読みます)」という治療法が普及しており、ご高齢の方や体力に不安のある方でも、体への負担を抑えて治療を受けられるようになっています。「歳のせいだから息が切れるのは仕方ない」と諦めず、聴診で雑音を指摘されたり、以前より動けなくなったと感じたりした場合は、早めにご相談ください。
当院の受診の流れ
初回の診察 — 状態の確認と検査の計画
問診・診察のうえ、必要に応じて採血・心電図・胸部レントゲンなどの基本的な検査をその場で行い、状態を確認します。緊急性が疑われる場合は、直ちに近隣の高次医療機関へご紹介します。さらに検査の追加が必要な場合は、ホルター心電図(携帯型の心電計)をお持ち帰りいただいたり、冠動脈CT検査(連携医療機関で実施)などの予約を行います。
2回目の受診 — 心エコーと結果のご説明
後日、心臓超音波検査(心エコー・予約制)を実施します。ホルター心電図やCTなどすべての検査結果が揃ったこの日に、結果を丁寧にご説明し、今後の方針を一緒に決めていきます。
当院ではセカンドオピニオン診療を行っておりません。すでに他の医療機関にて治療中の心疾患について、当院での相談を希望される際には必ず紹介状をお持ち頂きますよう、お願い致します。かかりつけの先生からの紹介状を持たず受診をされると、過去の経緯や検査結果などがまったくわからないところから手探りの診察となるため、当院にて正確な診断・治療を行うことは、却って困難になります。また、検査や治療が重複することにより、金銭面のみならず、患者様の身体面でも大きな負担が生じます。さらに健康保険側では、医療費の適正化の取り組みとして重複受診を行っている方の調査を行っており、患者様に個別に連絡が入るケースがあります。ご理解、ご協力のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
その他の循環器内科の病気については循環器内科の病気のページをご覧ください。