背中の痛みが気になる方へ
背中の痛みが気になる方へ
「背中の痛み」が気になる方へ、当院での診療の考え方を循環器専門医が解説します。
「背中が痛い」という症状は、ありふれたものであると同時に、時に命に関わる重大な病気のサインである可能性もあり、注意深い対応が必要です。多くの場合は、肩こりや筋肉痛などのありふれた原因による症状ですが、内臓、特に心臓や大血管、消化器系の病気が原因で背中に痛みを感じることも少なくありません。当院では、問診と診察、各種検査を通じて、その痛みが緊急性のあるものか、あるいは整形外科的な治療が望ましいものかなどを的確に判断し、適切な診療に繋げていきます。
背部痛を訴える患者様の診察で最も重要なことは、まず命に関わる緊急疾患を見逃さないことです。特に、以下のような特徴を持つ痛みは注意が必要です。
突然発症の、引き裂かれるような激しい痛み: 主に肩甲骨の間に痛みを感じる場合、急性大動脈解離の可能性があります。これは、心臓から全身へ血液を送る大動脈の壁が裂ける病気で、一刻を争う緊急手術が必要です。
胸の痛みや圧迫感を伴う背部痛: 心臓の血管が詰まる急性心筋梗塞では、痛みが背中や肩に広がることがあります。冷や汗や息苦しさを伴う場合は特に危険なサインです。
みぞおちの痛みや吐き気を伴う背部痛: 胃や十二指腸に穴が開く消化管穿孔や、膵臓に強い炎症が起こる急性膵炎の可能性があります。
これらの疾患が少しでも疑われる場合は、ただちに連携する高度医療機関へ救急搬送を手配します。また、これまでに経験したことのないような激しい背部痛を感じた際は、迷わず救急車を要請することが大切です。
緊急性は高くないものの、適切な治療が必要な内臓の病気でも背部痛は起こります。
消化器系の疾患: 逆流性食道炎や胃潰瘍では、背中の上部に鈍い痛みを感じることがあります。また、胆嚢に石ができる胆石症では、それぞれ右の肩甲骨下あたりに痛みを感じることがあります。
泌尿器系の疾患: 尿路結石や、腎臓の感染症である腎盂腎炎では、腰に近い背中の痛みが特徴です。
婦人科系の疾患: 女性の場合、子宮や卵巣の病気が原因で背中の下部や腰に痛みを感じることがあります。
当院では、採血や尿検査、心電図、レントゲン、エコー検査などを行うことで、これらの内臓疾患が隠れていないかを慎重に評価します。
背部痛の原因として最も多いのが、筋肉の緊張や骨格の歪みによるものです。他にも、帯状疱疹などの疾患は見逃すことができません。
筋・筋膜性疼痛症候群: いわゆる「凝り」や「筋違い」で、長時間同じ姿勢を続けること(デスクワークなど)や、運動不足、ストレスによる筋肉の過緊張が原因です。
変形性脊椎症・椎間板ヘルニア: 加齢により背骨(脊椎)が変形したり、骨と骨の間にあるクッション(椎間板)が飛び出したりして、神経を圧迫し痛みを引き起こします。
帯状疱疹: 体の片側の神経に沿ってピリピリとした痛みが出現し、数日後に赤い発疹と水ぶくれが現れます。皮膚症状より痛みが先行するため、初期の診断が難しいことがあります。
整形外科的な疾患が強く疑われる場合は、鎮痛薬の処方など初期対応を行うとともに、専門である整形外科やペインクリニックへの受診をご案内いたします。
当院の受診の流れ
初回の診察 — 状態の確認と検査の計画
問診・診察のうえ、必要に応じて採血・心電図・胸部レントゲンなどの基本的な検査をその場で行い、状態を確認します。緊急性が疑われる場合は、直ちに近隣の高次医療機関へご紹介します。さらに検査の追加が必要な場合は、ホルター心電図(携帯型の心電計)をお持ち帰りいただいたり、冠動脈CT検査(連携医療機関で実施)などの予約を行います。
2回目の受診 — 心エコーと結果のご説明
後日、心臓超音波検査(心エコー・予約制)を実施します。ホルター心電図やCTなどすべての検査結果が揃ったこの日に、結果を丁寧にご説明し、今後の方針を一緒に決めていきます。
当院ではセカンドオピニオン診療を行っておりません。また、すでに他の医療機関にて治療中の心疾患について、当院での相談を希望される際には必ず紹介状をお持ち頂きますよう、お願い致します。かかりつけの先生からの紹介状を持たず受診をされると、過去の経緯や検査結果などがまったくわからないところから手探りの診察となるため、当院にて正確な診断・治療を行うことは、却って困難になります。また、検査や治療が重複することにより、金銭面のみならず、患者様の身体面でも大きな負担が生じます。さらに健康保険側では、医療費の適正化の取り組みとして重複受診を行っている方の調査を行っており、患者様に個別に連絡が入るケースがあります。ご理解、ご協力のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
その他の症状については循環器内科で診る症状のページをご覧ください。